「3Dデータの長期保存」は、国際標準化機構(ISO)や航空宇宙団体(LOTAR)により定義され、EN9300(ヨーロッパ規範)で規定されています。3D図面を運用した場合、流用設計やPL法対策として数十年以上、設計CADデータを保管する必要性があります。具体的な保管期間は、自動車産業界では約25年程度、航空宇宙産業界では55年とされています。国際的に認められている「3Dデータの長期保存」のフォーマットは、STEP AP242です。STEP AP242は、AP203とAP214をマージし、さらにPMI、表示データ、同一性チェック情報(GVP・AVP)を付加し、3D図面や長期保存に対応するため、ISOが開発したフォーマットです。STEP AP242にはCADデータとの「同一性チェック」があります。この「同一性チェック」は、マスプロパティ情報でCADデータとSTEP AP242を比較します。比較には、世界標準として統一されたマスプロパティ計算アルゴリズム(ここが重要)で比較検証を行います。ドイツ自動車工業会(VDA)が長年あたためていたVDAチェッカーをプログラム言語化してチェックするソフトウェアの答えが一致することで品質の保証が行われています。これがPDQ-Sです。このPDQ-Sは簡単で、微小要素、重複要素を取り除くことで変換エラーを防ぎます。CADデータを読み込む技術は、ISO、LOTAR、VDAなど国際的に評価が高いバイナリー解析技術により未来永劫、高速・高精度にCADデータを読み取る技術を用いています。「3Dデータの長期保存」の目的は、2つあります。1つは、航空機の事故等が発生した場合にCADデータを解析して事故原因を調べます。もう一つはCADデータの再利用です。この考え方は、設計データを丸ごとBOMとして再利用します。BOMの考え方には日本と欧州で違うようですが、欧州は特にBOMを用意することなくXML言語とSTEPデータで簡単に検索・抽出を行っています。アセンブリ情報は、XML言語で拡張子*.stpx、形状情報はSTEPで拡張子は、*.stpまたは*.stepになります。「3Dデータの長期保存」を行うことでCADのバージョン管理、BOMの管理などの煩わしさから解放されます。XMLもSTEPもテキスト文字なので管理も行いやすいです。当然ながら「3Dデータの長期保存」は、「バッチ処理」に対応しています。「3Dデータの長期保存」に必要な機能は、全て「3D Evolution」に搭載されています。 ![]() |
国際規準:国際標準化機構(ISO)が規定した長期保存方法国際規準:品質計測は、PDQ-Sを定義(ISO:10303-59)国際規準:変換保証は、GVPとAVPを定義(ISO:10303-62) |
下図は、CATIA V5の3DデータをSTEP AP242に変換している動画です。3D図面では、アセンブル情報はXML形式で保存します。XMLは、PLMXMLとAP242XMLが選択できます。航空宇宙団体(LOTAR)は、3D図面としてSTEP AP242を採用していますが、STEP AP242は、長期保存フォーマットとして国際標準化機構(ISO)が定めたフォーマットです。CATIA V5データをSTEP AP242に変換した場合は、オリジナルCATIA V5データとの「同一性チェック」も搭載されています。現在のところLOTARの保存年間は55年です。「3D Evolution」は、国際標準化機構の「3D図面の長期保存」を実行できる唯一の変換ソフトです。 ![]() |
「3Dデータの長期保存」のプロセスは、バイナリー解析技術でCADデータを読込み、STEP AP242に形状データと形状データの長さ・角度・面積・体積などの数値データやアセンブルの個数などを書き込みます。CADシステムでは、形状の数値データに微妙な違いが発生しているため、国際標準化機構(ISO)が定めたアルゴリズムにより計測しています。保存されたSTEP AP242を使用するときにに形状データと保存された元データの数値情報と比較して使用可能かどうかの判定を行います。これが「同一性チェック」です。 ![]() |
インプットデータ | 拡張子 |
3DEXPERIENCEデータ | *.3dxml |
Acisデータ | *.sat *.sab |
CADDSデータ | _ps _pd |
CATIA V4データ | *.model *.dlv *.exp |
CATIA V5データ | *.CATProduct *.CATPart |
CATIA V6データ | *.3dxml |
Creoデータ | *.asm *.prt *.xas *.xpr *.neu |
iCADデータ | *.x_t *.x_b |
I-Deasデータ | *.arc *.unv *.asc |
IFCデータ | *.ifc |
IGESデータ | *.iges *.igs |
Inventorデータ | *.iam *.ipt |
JTデータ | *.jt |
NXデータ | *.prt |
Parasolidデータ | *.x_t *.x_b *.xmt_txt |
Solid Edgeデータ | *.par *.asm *.psm |
SolidWorksデータ | *.sldasm *.sldprt *.asm *.prt |
STEPデータ | *.step *.stp *.stpx *.stpZ |
「ダイレクトトランスレータ」は、国際標準化機構(ISO)、航空宇宙団体(LOTAR)、ドイツ自動車工業会(VDA)など国際的に評価が高いバイナリー解析技術により開発されたCADインターフェイスを実装しています。この「3D Evolution」のバイナリー解析技術は、CAMや30社以上のCAEソフトウェアに供給され、ISOの「3Dデータの長期保存」で利用されている信頼性の極めて高い技術です。開発されたCADインターフェイスは、殆どのCAEソフトメーカに供給されています。そのCADインターフェイスにより大容量3Dデータを高速かつ正確に読み取り、「3Dデータの変換」(B-Rep変換)、「CADフィーチャーの変換」、「CADフィーチャーの抽出」「3Dデータの長期保存」、「リバース変換」を行います。バイナリー解析技術を使用している理由は、インダストリー4.0のように3D図面化が進んだ設計・製造プロセスをバイナリー解析技術により永続的に保証するためです。「3D Evolution」の「ダイレクトトランスレータ」の実績は、LOTARの設計CADデータの「3D図面の変換」と「3Dデータの長期保存」、VDAの「3D図面の変換」があります。どちらの実績とも変換母数が多く、バイナリー解析により、CADデータのリードスピードを早める必要があります。この「ダイレクトトランスレータ」は、インダストリー4.0の基礎技術として欧州に製造業では、使用していない企業はないと言われています。「ダイレクトトランスレータ」は、「バッチ処理」に対応しています。 |