3D図面として運用実績のあるSTEP AP242とJTフォーマットを比較してみます。STEP AP242 は航空宇宙団体(LOTAR)、JTフォーマットはドイツ自動車工業会(VDA)で運用実績があります。3D図面フォーマットとして中間フォーマットで運用する目的は、3Dデータの流通性確保、長期間に及ぶ設計資産の保全、PL法や知財法対策です。CADデータの長期保存では、数十年以上のスパンを考えていますので当然ながら中間フォーマットベースで保存します。パートファイルの位置情報は、XMLファイルで持ちます。STEP AP242もJTフォーマットも「3D図面のダイレクトトランスレータ」と同時にアセンブリ位置情報としてXMLファイルを作成しています。仮に50万点のアセンブリ構成を3D図面に変換し長期保存する場合を想定してみます。当然ながらトップアセンブリから全てのファイルを開くことは不可能です。この場合の変換方法は、最初にアセンブリ構成をパートファイルにリンク情報及びアセンブリ位置情報を持ったアセンブリ構成をXMLに出力します。そのあとに個別パートを3D図面に変換します。このように3D図面は、XML(アセンブリ情報)+3D図面(形状情報)で運用することで位置情報やパート情報を正確に変換し検索が容易となっています。XML言語は、インターネットが誕生した時から存在する言語で今後も存在し続けます。それを見込んでMicrosoftのOfficeもXML言語で開発しています。 ![]() |
STEP AP242 | JT | |
形状情報(*1) | ✔ | ✔ |
アセンブリ情報(*2) | ✔ | ✔ |
PMI情報 | ✔ | ✔ |
表示情報(*3) | ✔ | ✔ |
属性情報 | ✔ | ✔ |
圧縮フォーマット | ✔ | ✔ |
同一性チェック情報(*4) | ✔ | |
信頼性(*5) | ✔ |
*1 JTのB-Repは、Parasolidのため曖昧表現があります。 *2 XMLフォーマットでBOMを作成します。 *3 JTは、精度の違う表示情報を3つ持てます。 *4 STEP AP242は、長期保存フォーマットを兼ねていますので変換保障付きです。 *5 STEP AP242は、ISOから変換フォーマットとしての認定を受けています。 |
航空宇宙団体(LOTAR)は、CADデータをSTEP AP242に変換して55年保存体制を取っています。ドイツ自動車工業会(VDA)は、JTフォーマットで25年保存体制です。また重要なのは、3D図面を運用するとBOMが自動的に作成され長期保存ができることです。つまり3D図面とBOMは一体で運用できます。BOMの基本的な考え方は、形状情報の保管庫にに部品番号名で形状情報が保管されていて、XMLのアセンブリファイルで個々の部品番号の位置情報を管理し、形状情報は保管庫のデータおよび簡易図面等とリンクしています。3D図面とBOMは同一でそのまま長期保存されます。 |
航空中団体(LOTAR)とドイツ自動車工業会(VDA)の3D図面の違いは、「3D図面のダイレクトトランスレータ」において変換保証をするかどうかです。LOTARは、STEP AP242に変換した場合にマスプロパティ情報をSTEP AP242に書き込み、STEP AP242の形状情報と書かれたマスプロパティ情報を比較することで変換誤差が解ります。VDAのJTフォーマットに変換した場合は、変換されたJTデータをマスターデータとする取り決めとなっています。マスプロパティ計算も3Dシステム毎によりアルゴリズムが違うため一致しません。そこでISOは、CATIA V5と3D Evolutionのアルゴリズムを統一させSTEP AP242のチェックをダブルカーネルチェックとしています。 |
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